建築施工例:個人住宅 久野様邸
都市部における戸建て、二世帯住居をきっぱりしたモダニズムの表現にたって実現した爽快な住宅作品として高く評価した。
L型の平面設計は既存の庭部分の尊重と将来変化するであろう周辺環境への対応から導き出されたものといえるが、両親の個室を含む低層ブロックと共有部、子の居住空間を含む2層棟ブロックの2つのヴォリュームを形態的、空間的に効果的に連続することで、豊かな住空間の演出が成功している。
2層ヴォリュームの部分は1階の天井高を抑え、対比的に上階層の天井高を上げることで、吹き抜け空間を活かした空間のダイナミズムが充分に獲得されている。低層部の屋根を利用した芝生テラスなどが活かされた階層の構成によって、断面計画の中に単純、明快な解決が見いだせる。
近代建築が生んだ空間処理の方法をよく咀嚼した上の巧みな操作が導かれているように思う。構造、環境技術の処理、仕上げの選択など全てに優れた完成と思考が読みとれた。モダニズムの現在を率直に感じる作品で、推進賞にふさわしい高い質をもつ。
*このページ内の文章と写真は、熊本県土木部建築課発行の第8回くまもとアートポリス推進賞の紹介誌より抜粋させていただきました。
社内季報「いわなが」No.125号より抜粋
第8回くまもとアートポリス推進賞 選賞受賞
- 所在地
- 熊本市
- 設 計
- 久野啓太郎+一級建築士事務所ヒマラヤ
- 構 造
- 鉄筋コンクリート造一部鉄骨造
- 延床面積
- 152.25㎡
- 竣 工
- 平成14年3月